【新曲レビュー】きのこ帝国「東京」

きのこ帝国「東京」

2nd Full Album「フェイクワールドワンダーランド」収録

2014.10.29リリース!!

 

アルバムリリースに先駆け、一曲入り100円(税抜)という形でいち早く届けられたこの楽曲では、最新のきのこ帝国のモードと一回りも二回りも広がった彼らの世界が鮮やかに鳴っている。彼らが自信をもっているからこそ、今回の様なリリースになったのは、もちろんだが、作品を重ねるごとに、火花を散らすような緊張感と鋭利なまでの美しさを内包した彼らの世界に体温を与え、少しずつ外に向けて広げていた見えないエネルギーがここにきて、その姿を現したかのような楽曲になり、届けられずにはいられなかったのではないかと思う。

 

これまでに何人のアーティストが“東京”という街を歌ってきただろう。それぞれの時代にその時代の“東京”があり、この大きな街で暮らす人々の数だけそれぞれの“東京”がある。

 

移ろいやすい人の想いを頼りに過ごす何気ない日々。馬鹿げていると分かってはいるけれど、あなたに出会えたことがこの街にいる理由で、私をこの街につなぎとめている理由で。そんなことを考える愛しくてメランコリックな時間。私たちは、不安が嫌いで、“確かなもの”を必死で探して縋り付く。だからこそ、不安定なものが美しく映るのかもしれない。きのこ帝国が歌う“東京”はこの街に流れる、そんなメランコリックで、美しい時間。時に淡く、時に強烈な色を放ついくつもの繊細な線が折り重なって生み出される様な楽器隊のサウンドと、透き通ったボーカル・佐藤の歌声だからこそ描けた“東京”がそこにはある。

 

これが、今の“東京”という街。

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