一度は観ておきたい名作音楽映画「ブラス!」

サウンドトラックの録音もしている英国の金管バンド「グライムソープ・コリアリー・バンド」がモデルとなった映画。

「ブラス!」というのは邦題で、原題は「Brassed Off」。「be brassed off」の“〜にうんざりする”と、ブラスバンドの“brass”を掛けた社会風刺的作品でもあります。

 


ストーリー紹介〜泥まみれの炭坑で音楽をする喜び〜


舞台はイギリス・ヨークシャーの炭坑町として栄えたグリムリー。

町には100年の歴史を誇る金管バンド「グリムリー・コリアリー・バンド」があった。炭坑夫たちは仕事を終えると合奏場に集い、バンドは彼らのささやかな生活の癒しとなっていた。

ところが、サッチャー政権下のイギリスではあちこちで炭坑閉鎖がささやかれ、グリムリーも例に漏れず閉鎖の噂が流れる。

団員たちは気もそぞろになり、音楽どころではなくなってしまうのだが、グリムリー出身で仕事の為に戻ってきたという美人フリューゲルホルンプレイヤー・グロリアをメンバーに加え、再び士気を上げる。

このグロリアの仕事というのは、実は炭坑の調書を作成することだった。

 

炭坑閉鎖、失業を目前にした過酷な環境の中、バンドは全英ブラスバンド選手権に出場するのだが・・・

 

——明日職を失うかもしれない。お金はないし、楽器もない。

それでも彼らは音と心を重ねる。

 


制作・キャスト


監督・脚本:マーク・ハーマン

製作:スティーブ・アボット

ダニー役:ピート・ポスルスウェイト

アンディ役:ユアン・マクレガー

グロリア役:タラ・フィッツジェラルド

フィル役:スティーブン・トンプキンソン

ハリー役:ジム・カーター

 


見所〜夜中の病室前で演奏されるダニー・ボーイ


「ブラス!」の見所はなんといってもバンド最後の演奏として、指揮者であるダニーの入院する病院前で「ダニー・ボーイ」を演奏するシーン。

この「ダニー・ボーイ」を聴いて泣かずにいられる人などいるのでしょうか。

金管バンドの持ち味である熱くて柔らかいサウンド、心と心で音を重ねる彼らの誇りある音楽。そして、指揮者ダニーの贈るアイルランド民謡の「ダニー・ボーイ」(ロンドンデリー・エアーという曲名でも知られている)といういかにもイギリスらしい選曲が涙を誘います。

 

これほど静かに、熱い思いをたぎらせる演奏をわたしは他に知りません。

 


グライムソープ・コリアリー・バンド


この作品のモデルとなったグライムソープ・コリアリー・バンドは、実際に炭坑の閉鎖が決定した1992年に全英ブラスバンド選手権に出場し優勝を勝ち取りました。

劇中、セリフのある俳優に混じって団員も多く出演しています。

 


まとめ


この映画で特筆すべき点は、「コンテストで優勝したから炭坑が救われる」などという安易な救済がどこにもないことです。炭坑は救われない。

素晴らしい演奏をする100年の歴史を持つバンドも、コンテストでの素晴らしい成果も、実際にはなんの意味も成さないのです。

音楽が素晴らしく、人の心をつなぎとめ救うことが痛いほどわかりながら、それでハッピーエンドにならないことこそが、この映画の魅力となっています。

 

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